ホテルの部屋に着くなり電気が消される。そしてぱぱんと帽子をとったジンに頬を軽やかに殴られて、そのままベッドへ押し倒された。その体勢からもう一度、殴れる。口の中切れたなぁ。その証拠に口内へ血の味が広がって行く。痛みに顔が強ばった。それからジンは黙って、でも凄く嬉しそうに、私の首を絞める。ジンの長くて冷たい指が気管を圧迫する。入ってくる空気の量が少なくなる。苦しいなぁ。息しづらい。目の前にかちかちと黒と白の背景が入れ替わり現れる。ジンの顔は本当にぼんやりとしか見えないけれど、彼の白い歯が愉快に歪んだ口から覗いているので、彼が楽しんでいることが分かる。だから私も愉快で笑いそうになる。すると指の力がさらに強くなって爪が喉を引っ掻く。私の口から小さなあが不規則に漏れて、頭がぼんやりとしていく。苦しい。苦しい。意識が飛びそうになる、その瞬間、指の力が徐々に弱まってやがて離れた、するとたくさんの空気が肺へ流れ込んできた。一方ジンの指の無くなった首は急速に熱を帯びていく。ジンはごほごほと苦しそうに咳き込む私の上に乗っかってにやにや笑っている。しばらくてしから首筋へ獣のように噛みついてきた。まだ焦点 の定まらない目、力の入らない手でジンへ細やかに抵抗する。噛まれたところから血が流れていく。シーツがが汚れると言おうとする口にキス。いつの間にかに露になっていた胸元へ彼の指が臍まで伸びる赤い線を引いた。痛みに肩が動く。シーツを固く握りしめる。彼の舌が執拗に口内を犯す。それに興奮するのは体だけじゃない。髪をぐちゃぐちゃに掻き乱される。声にならない声とばたつく足の音が辺り響いていっそう静か。離された唇へ、丸めれた布(何の布?)が詰められる。ジンの黒いコートと白いハイネックがベッドの下へ落下する音、青白い肌に浮き出た彼の鎖骨、少しだけ荒くなった彼の呼吸音と微かに聞こえる声。髪がさらさらと背中を流れてシーツに落ちる。今度は頬じゃなくて腹部に衝撃。痛みを叫ぶ声は布で邪魔され間抜けに響く。それでも彼を愛しいと思う私は真性のマゾだ。ジンに会う前は違ったのに。彼の背中へ腕を回して爪を立てる。そのうち立ち上がった彼に靴で踏まれた。靴底の冷たさが私の子宮をきゅんきゅん言わせる。そのうち痛みにゆっくりと視界が歪んで、なんだかよく分からなくった。ベッドがギシギシ激しく鳴る。 喘げば喘ぐほど苦しめば苦しむほど彼は嬉しそうに笑う。獣のような低い笑い声と息づかいが脳みそに木霊する。ぐちゃぐちゃの頭の私が愛してると言う度彼は俺もだと不敵に笑って強かに殴った。

が目覚めた時にジンはすでに部屋にはいなかった。携帯で時間を確認すると8時ジャスト。学校には二時間目から行くことにした彼女はずきずき痛む体をどうにかしながらシャワーを浴びる。傷口に熱湯がよく滲みた。その後制服に着替えてから髪を整えようと鏡を見たの目に、首にある紫色の指の跡と引っ掛かれた傷、赤黒く変色した皮膚さらに点点と散らばる紫寸前のキスマークが飛び込んで来た。「包帯巻かなきゃ。」首の傷をなぞって誰にともなくそう言うと、櫛で髪をとかして洗面所を出た。それからルームサービスで頼んだ朝ご飯が来る前に、ジンがベッドの横の棚に置いていった包帯を慣れた手付きで首に巻いた。そうしてドアがノックされるまで、高級感たっぷりのソファに座ったは、包帯がきちんとしていることをを指で確認しながら昨日の夜の思い出に浸る。殴られた頬は赤みを帯びていて、未だに痛い。頭だってくらくらする。腹もじくじく痛んでいる。そうとうひどくやられている。歩くのがやっとの状態だ。だけどは好きなのだ。あの男が。ああいうことをするからジンが好きなのか、ジンが好きだから許すのか、分からないけれど。この痛みを傷を愛 しく思う自分をはとっくの昔に受け入れていた。黒革のソファにどっぷり身を沈ませて次にヤるときはノーマルで行こう、そして愛してると向こうから言わせてやろうとその計画を悶々と考えているのだった。






情熱的ラブレター




(20080306)
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