ふんふんと、私は下手な鼻歌を人のいない廊下に響かせていた。特に良いことがあったわけではないけど。それでも鼻歌をしたくなる時があって、今の私はそんな気持だった。ふんふん、そのまま教室の扉を開ける。放課後、オレンジ色に染まる教室に曲霊は一人でいた。顔には大きな湿布が貼られていて、不機嫌そうに頬杖をついているその姿は不良少年そのものだった。私はその様に素直に感心してしまう。
「曲霊また喧嘩したの」「向こうが勝手に殴りかかって来ただけだ。」「目つき悪いもんねー。」曲霊の隣の自分の机に座る。「帰るなら一緒に帰ろうよ。」机の中の教科書を鞄に詰めながら、不良少年に声をかければ、「帰らぬ。」「なぜ、」「担任と保護者面談がある。」「えー、保護者って白夜くん?かわいそ」「白夜は来ぬ。」「じゃ、奈落さんが、来るの?」「来る」「白夜くんが来れば良くない?」「…あいつも気を使っておるのだ」「なにに、」「お前にだ。奈落のことだこうでもしないとなかなか会えんだろう。」「まぁ、そうだけど。いや、家行けば問題ないよ。」「わしも気にかけておるのだ。」「え、シカト。心にもないこと言ってるね。」「何を言うか。こうして喧嘩しているのが、何よりの証拠だ。」「喧嘩の言い訳に私を使わないでよ…」「ん、来たようだな。」窓の外に目を向けると、見慣れた車が校門をくぐり、玄関口前に停車した。あ、奈落さんだ。「話が終わるまでここで待っていろ。」の手にPSPが渡される。ソフトはモンハンだった。「わしが気を使っておる証拠を見せてやろう。」そう言って曲霊は教室を出て行った。「モンハンしたことないのに…」モンハンを曲霊の机の中に入れる。机は教科書と資料集でぱんぱんだった。いつ勉強してるんだろう。今月の終わりにある学年末テストを思うと頭が痛くなった。いいや、曲霊に教わろう、てかこんなに置き勉してるのに、なんであいつテストの点いいんだろう。むかつくなぁ。とりあえず明日の数学の宿題でもしよう。そして、曲霊をぎゃふんと言わす。そう思ってワークを開いたものの、この後教室に訪れる人物を想像して頬がにやけた。仕方ない、今度曲霊に肉まんでも買ってあげよう。


人の来ない教室は私の集中力を高め、そして持続させた。時折校庭から聞こえる運動部の掛け声が望ましい。何かに集中したいときに、音楽は聴かない派だ。だって、なんだか気が散ってしまう。曲霊は良く聴いてるけど。途中奈落のことが頭によぎって、勉強が手に付かなくなりそうになったりしたが、無事に宿題を終わらせた。時計を見ればあれから40分ほどが経っている。そろそろ戻ってくる頃かもなとにやにやしていたら、扉が開いた。「じゃねーか、何してんだ。」入ってきたのは、白髪が人目を引く同級生だった。私と犬夜叉と曲霊は同じクラスで、そこに珊瑚ちゃんを加えた4人で仲良くしている。「宿題だよ。」ノートを持ち上げれば彼は納得したようで、私の目の前の机の上に腰掛けた。「行儀悪いよ。」「うるせぇな。」でこぴんされた。「暴力反対。」「でこぴんが暴力のうちに入るか。」「入ります。あとで珊瑚ちゃんに言いつけよう。」「てめぇ・・・」犬夜叉は私に再びでこぴんしようとしたが、珊瑚ちゃんが脳裏をよぎったらしくその掌を降ろした。正義は勝つのだ!と思っていたら、イチゴミルクを強奪された。せっかく購買で買ってきたのに。空になったパックは犬夜叉の掌で潰れた。「あ、犬夜叉今日もう帰った方がいいよ。」同級生を目の敵にしている男が学校に来訪していることに気付いた私は優しくもそう助言した。しかし、犬夜叉はあたりを窺うように鼻をすんすんと鳴らした後、嫌そうな顔で言った。「もう手遅れだな。」同時に扉が開いて、私の可愛い恋人が姿を現した。「犬夜叉って本当に鼻いいね。前世犬だったんじゃない?」犬夜叉を視界に入れて青筋を立て始めた恋人を私はどうしようかと、考える。



前世からの因縁とかその他



20110113
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