ウボォーさんと抱き合うのはとても好きだ。
彼の部屋のドアを閉めて廊下に出た時ふとそう感じた。
ウボォーさんは力強くて激しい、そして自由で野性的な抱き方をする。
私はそれが好きだ。
抱かれているとふわふわしてわくわくしてどうしようも無く浮かれてきて、そのままベットごと空を飛べてしまいそうになる。
元来私はセックスみたいに気持ち良いのとか陽気なのとか大好きだから気持ち良いのと楽しいのがセット出来たらそれは凄く好きになるんだと思う。


きっと、きっと。

「ウボォーのとこ行てたか?」
「フェイタン、さん。こんばんは。」

独特な口調の彼が私の後ろに立っていて、なんだか今日も機嫌は良くないようだ。 そういえば今日のお仕事フェイタンはお留守番組だったなぁ、暴れてないからストレス溜ってんのかも。

「何してたね。」
「抱き合ってました。」

ここに来てから旅団の誰かが私を抱くというのは暗黙の了解のようなものになっている。 今日はウボォーさんだったから明日はフィンクスさんのとこかな、みたいな感じに。 順番はおおよそメンバーの間で決まっているらしくて私は夜呼ばれたら彼らの寝室に行き、そして抱かれる。 休みの日もきちんとあるし、どうしても駄目だと言えばやめてくれたりもするし結構良心的だ。(昔そりゃぁ質の悪い風俗の店に売られてしまったことがあってその時のことと比べれば全然ましだ) それに何より私はセックスが嫌いじゃない。 しかも陽気に生きるためにはセックスが必要条件なのだ。 だから私は彼にも全く隠すことなくそう言った。

「今日ウボォーの日だたか?」
「どうでしょう。私は呼ばれたから行っただけなんで。」

フェイタンはその言葉に納得はしていないようだったが、彼も暗黙の掟は心得ているのでそれ以上何も追及することは出来ない。

「お前嫌にならない?代わる代わる抱かれるの。」
「別に。私セックスは好きなんです。それに皆さんそれなりの技術があって実に楽しい。」
「変わてるね。普通嫌がるものよ。」

お前には貞操観念がない。クロロにそう言われたのは最近のことだ。

「あははは。」
「そこわらうとこね?」

手に持っていたビールを口に運ぶ。 喉を冷たい物が落ちて行った。 ウボォーさんと抱き合った熱が冷めていく、こういう瞬間が好きだ。

そう、私の中から他人が消えて行く瞬間。(人と交わることを切に望んでいるのにどうしてかしら私の中から他人がいなくなると安心する、)

「お前まだ体力ありそうね。」
「うわ。フェイタンさんに抱かれると傷増えるんですよね。」

服を捲って傷だらけの腕を彼に見せる。

「綺麗な傷なら見栄えがいいんですけど。まぁ汚い傷も好きですよ。」

じゃあいいねと手招きしたフェイタンの後に続いてはいった彼の部屋のベッドに潜る。 浴槽から聞こえて来るシャワーの音を聞きながら私は深い眠りに包まれた。






結局何もしないまま
(朝起きたらフェイタンが寝る前よりも不機嫌そうな顔で私の隣りに寝転がっていた。
しかもその辺においていた筈のビールが零れてシーツに黄色の染みを作っている。
ごめん、寝ちゃった。そう言ったら腹に衝撃が走り私は再び深い眠りについた。)
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