人間として生きることを決めたに変化が起こった。忍が変わったあの日から、止まっていた彼女の成長が再び開始したのだ。は大人になっていった。
一般企業に就職したものの、いろいろあって探偵という職業を彼女は選んだ。その能力をフルに生かし、妖怪にも人間にも対応できるは各業界で重宝された。やがて、結婚した。妖怪とは全く縁のない人間だった。一般家庭を築き、子供を産んだ。男の子と女の子が一人ずつ。忍と樹から名前を付けようかとも思ったが、やめた。人間と同じように年をとっていったは死を迎えた。「お願いがあるのです。」しわしわになった手で夫の手を握る。「私が亡くなるときは、絶対に一人にしてください。」老人は悲しそうに微笑んだ。「お前に何か重大な秘め事があるのは知っていたよ。それももう終わりなんだね。」「ごめんなさい、」「いいのさ、それもあなたの魅力だと思っていたから。」「ありがとう。」お互いの目に涙が浮かんだ。「愛していましたよ。」

空間が裂ける。「会いたかった。」久しぶりに見る父は痩せていて、少しだけ年をとっていた。樹はを抱きしめるとそのまま次元の狭間へ消えていった。「また三人一緒ね。」笑ったはあの時のままだった。
「ねえ、私、人間として生きたの、」「見てたよ。子供が可愛かったな、ちょっかいかけたくなった。」「悪趣味ね。」忍の頭を膝に乗せては微笑み、樹の肩に凭れ掛かり目を瞑った。「あぁ、幸せだわ」それがの最後の言葉だった。




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